自衛隊は国民を守るものなのか?

国を守るとはどういうことか?

憲法9条についての議論では必ず、軍隊がなくて国を守れるかという話になります。しかし国を守るとはどういうことでしょうか?普通の市民は、自分たちの生命財産を守ってくれることを想像するでしょう。


しかしそれは違うようです。
栗栖弘臣という自衛隊制服組のトップははっきり違うと言っています。この人はいわゆる「超法規発言」というものをして、当時の防衛庁長官から解任されています。その栗栖氏は2000年、小学館文庫から本を出して、「国を守る」ということについて、次のように述べています。

今でも自衛隊は国民の生命、財産を守るものだと誤解している人が多い。政治家やマスコミも往々(しばしば)この言葉を使う。しかし、国民の生命、財産を守るのは警察の使命であって、武装集団たる自衛隊の任務ではない。


 自衛隊は国の独立と平和を守るのである警察法自衛隊法に書いてある。


この場合の国とは、我が国の歴史、伝統に基づく固有の文化、長い年月の間に醸成された国が、天皇制を中心とする一体感を共有する民族家族意識である。決して個々の国民を意味しない

栗栖弘臣、「日本国防軍を創設せよ 」小学館文庫、2000)


これについて高橋哲哉氏はこう解説しています

これは要するに、「国体護持」っていうことですよね。天皇制を中心とする「国柄」ですから。「国柄」というのは戦前、戦中の文献を見ると、あきらかに「国体」と同じ意味で使われています。


 日本の国柄、国体というのは、もちろん国民体育大会ではありませんよ。天皇制国家という意味です。戦前戦中、かつての旧帝国軍隊は、皇軍天皇の軍隊であり、天皇制国家という国体を守るための軍隊だった。だからいざとなったときには、国民を犠牲にした。旧満州でそうだった。そして沖縄戦でそうだった。ということがずっと言われてきたわけですけれども、


 その旧帝国軍隊。「国体護持」の軍隊という考え方が、はたして戦後の自衛隊においてどこまで清算されたのかということが実ははっきりしない。少なくとも2000年の段階で、自衛隊の制服組のトップだった人は、まだ「国体護持」という使命感を持っていたわけです。そのことがここであきらかになります。

2000年の時点でも自衛隊高官は、国を守るとは天皇制を守ることだと明言している!恐ろしいことです。


以上は高橋哲也氏の講演「心と戦争」〜今、私たちはどんな時代に生きているのか〜(2004年)の講演録から抜粋しました。この講演は全文読めますが非常に示唆に富んでいて面白いですね。