<慰安婦に関する討論の例>

慰安婦に関してテレビなど公開の場で、きちんとした知識のある方と否定派の方が正面から議論した例は非常に少ないでしょう。かつてテレビ朝日の深夜の討論番組「朝まで生テレビ」で吉見義明氏が出演した事があるだけで、全国ネットでは2007年にアメリカ下院での決議があった時も含め、その後はないように思います。しかし関西ネットのローカル局では2005年4月10日という河野談話が出た時期にも行われていました。ここでの議論は番組自体は強い否定論的立場にもかかわらず、登場した識者(高校教師)のしっかりした知識と断固とした態度により「否定派の完全な敗北」に終わった例です。私は最近これを視聴したのでここで紹介したいと思います。


慰安婦は強制だったのか」読売テレビ番組「たかじんのそこまで言って委員会」第87回 2005年4月10日放送(視聴率11.8%)
→ネットで視聴可能(http://takajintv.blog101.fc2.com/blog-entry-57.html#more)。またこの放送はDVDとして発売されています「たかじんのそこまで言って委員会SPECIAL EDITION」 発売日2007年4月10日 3500円(再編集DVD特別保存版)「激論!“従軍”慰安婦問題」(約29分)その他を収録)


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以下は番組の討論内容の記録

(出演者)

司会:やしきたかじん辛坊治郎読売テレビ解説委員:ひどい否定論者)
ゲスト:久保井規夫(元教師・アジア民衆歴史センター、慰安婦に関して著作あり)

パネラー:田嶋陽子(すべき・サンフランシスコ条約慰安婦のことが無視されていたのが問題)、三宅久之(ない・日韓基本条約で包括的に解決済だから)、宮崎哲弥(ない・民間の基金でやれ)、橋下徹(ない・戦後賠償は国家間の問題だから)志方俊之(すべき・国の命令で被害を受けたから)、桂ざこば(すべき・納得いくまで話あえば)、松尾貴史(ない・立証されていないから)、山口もえ(すべき・何らかの形で償ってあげて)
ビデオ出演:秦郁彦

*括弧内は「元慰安婦に日本国は賠償すべきか?」という番組設定へのパネラーの答え

(番組のビデオ説明:慰安婦は強制ではない)

(番組が慰安婦に関する説明のため製作したもの。数分に渡り、慰安婦は志願したもので韓国の政治的策動に日本の団体がのっていると解説。これがこの番組の基本的姿勢であり、司会者・番組製作姿勢自体が非常に歴史修正主義的なものになっている)
 河野談話は曖昧なもので、唯一の強制連行の証言者吉田清治氏は嘘をついていた。当時は公娼は合法で、兵士による性病や強姦を防ぐため慰安所が作られていたのは事実で、慰安所経営者に軍が便宜供与していたのも事実だが、強制ではない。などという典型的な否定論を秦郁彦の長いインタビューを含めて提示。


<討論開始>

田嶋陽子による慰安婦説明。他の否定論パネラーの反応)

たかじん慰安婦の定義づけというのは、無理矢理強制的に××させられたのが慰安婦と解釈したらいいんですか?」
田嶋「そうです。」
宮崎「軍や警察が関与したかどうかが大きな論点なのです」
橋下「関与も強制でない関与は管理ということでいくらでもあるわけですよ」
宮崎「警察や軍が 強制的に奴隷狩りのようなやり方で関与したかどうかが論点なのです」
田嶋「奴隷狩りなんです。まず台湾で起きたことは、日本政府と日本軍は台湾総統府と台湾拓殖株式会社を通じて軍需品として慰安婦を集めたんですね。今70人が名乗り出ていて、実際に2000人はいると言われています。それも、警察が来るんですね。お宅の娘さんを労働につかせたい、と言って。
 何で警察が来たのか、それ地元の警察ですよ。それは日本政府が台湾の総統府に命令して地元の警察が娘さんを拉致していくんです。それは騙してです。看護婦にするとか働かせてやるとか言って。それから中国の話」
三宅「事実無根の話をそんなアンタまことしやかに
田嶋「中国で1938年ですが、これは日本が南京を占領したときの話です。残ってる資料の中で、やはり警察が女の人のところに行くんですね。それは日本の内務省警保局というところがちゃんと書類を残していて、支那渡航婦女に関する件のお伺いというので、400人の慰安婦を集めるんですね。
 そのときの集め方が、日本政府は各府県の中国人の知事に命令して地元の警察が女性を集めてくるんですね。インドネシアでもそうなんです」
宮崎「そういうのは歴史学的な検証をしなきゃいけないわけですよ」
ざこば「僕は何もわからんけど、どうしてそんな資料は信用して、秦郁彦さんの言う方を信用しないの?俺は秦さんを信用するよ!」


志方「カンボジアへPKOで行ったときに、各国の軍隊の周りにいわゆる慰安所みたいなのが自然に発生してた。それは自然にできた。でも個人と国家とは違う。個人から見ると貧乏のためいやいやながらでもそこに行く、その人にとってはね、強制されたという気持ちかも。そういう次元の話だ。」
田嶋「(志方を無視して)それからいろんな証言が出てるんですよ、国連人権委員会で」
三宅「それからねってアンタ」
田嶋「そんな一般論だけ言ったって駄目です。事実だけはみなさん知らないとやっぱり恥ですよ。日本人として」
三宅他「勉強してくださいよ・・」「鵜呑みにして・・」「証言だけじゃ駄目なんだったら・・」
辛坊「事実に関して言うと、いろいろ読みましたけれど、田嶋さんが仰ってる事実に関して教科書に載るレベルの事実として確定してることは残念ながら一つもない」
松尾「朝鮮人の女の人がひどい目にあってきたというのは事実かもしれないけど、田嶋さんが読み上げた資料を鵜呑みにできない」
田嶋「これは女性差別よ!」

(久保井氏紹介)

辛坊「ここで田嶋さんの力強い援軍をお招きしています。作る会の教科書を徹底批判して「教科書から消えた歴史」などの本をお書きになっている元大阪の吹田小学校で先生です」(久保井氏登場)「この番組は今までいわゆる左派、リベラルと称する活動家の方、学校の先生とかにいっぱい出演募集したんですが、ことごとく断られてきたんです」
田嶋「すごい右翼だもんね、この番組」
辛坊「さてさきほどからの議論をお聞きになっててどんな印象ですか?」

(強制された慰安婦が大多数)

久保井「えー、慰安婦というのは間違いなく実際にあったと」「それから、二者択一的にね、強制か強制でないかといろいろ言われますが、私自身調べたり、また慰安婦と名乗り出た方に話を聞くと、大体名乗り出た方は、ほとんど、騙されたと言うわけですね。そして慰安所へと。あるいは慰安所そのものでなくて軍人の部隊へ、たとえば1991年に一番最初に名乗り出た金さんの場合ですと満州ですね、そちらの部隊の方に連れて行かれてそこで慰安婦をさせられたと」
三宅「軍隊に連れて行かれた慰安婦って駐屯地の中でですか? そんなことありますか馬鹿なこと言っちゃいけませんよアナタ。いくらなんだってね、駐屯地の中で売春行為やってるなんてことありえませんよ!」
田嶋「やってるんだって! 部屋の図まであるんだから」
三宅「ウソ八百! 駐屯地の中でやったなんてことありますか!」
田嶋「あったの!」
辛坊「基本的にね、これからの議論であまり異論のないところは、少なくとも残ってる文書から推定して軍がある程度設置に関与した」
田嶋「ある程度じゃないんだよ!しっかりだよ!政策だったんだから!」
辛坊「いや。ある程度関与して、犯罪防止のためだとか性病防止のために、軍と一緒に行動ないし準行動する、慰安所という売春施設を作ったことは間違いないということか?」
久保井「それは間違いないですね」
辛坊「久保井先生の感覚で、そこで働いていた女性が、強制的に連れてこられた女性と自発的に働きに来た女性の大体の比率みたいなものは」
久保井「実際の兵隊さんとか体験記とか実際に調べたことで出てくる慰安所の場合はやはり強制というのが大多数ですね。」

(軍隊そのものが募集した資料は?)

田嶋「あのね、こうなんです。国が渡航許可を出して、輸送に協力してやるんですね。国が集めるのには女衒と言われる人やプロの人に頼んでるんですね。渡航許可も輸送も国がやるんです」
三宅「あなたね、業者というのはね、頼まなくったってね、自分の商売道具は集めてくるんですよ」
田嶋「国が頼んでるんですよ業者に」
三宅「なんであなたは、無理矢理国が国がと言って、国に責任を押しつけようとするんですか?」
田嶋「押しつけるとかそういうことじゃなくて事実。三宅さんはジャーナリストだったんでしょう?少しは事実を見たら?」
三宅「私はジャーナリストとして調べて言ってる。あなたは無茶とわかってて言ってるんだ」
宮崎「久保井先生、田嶋さんが言うような、国がブローカーや女衒に慰安婦集めろと命令したという、資料とか証拠はあるんですか?」
久保井「軍隊そのものが募集したとか狩り集めたとかそういう証言や資料は今のところないですね」
田嶋「あのね、満州地域の関東軍司令部、梅津美治郎という人が」
橋下「それ自分で書いた資料じゃないですか。それ田嶋先生の筆跡じゃないですか!」「今、久保井先生が証拠無いって言われてるんですよ。」
田嶋「ちゃんと久保井先生の話聞きなさいよ。先生しっかりしてくださいよ。」

(他国にもあったのではないか?)

久保井「日清日露戦争の時には慰安所はなかったと思う。長引く戦争の中で日本軍が作った恥ずべき施設ですよ、そのことはやはり間違いであると日本は述べるべきだ」
三宅「どこの国の軍隊でもある。それを日本という国はこんな悪い国だ、日本人はこんな強姦的で殺人的でなんていうことを義務教育で教えるなんて、教えるんじゃない事実でないことをでっち上げて教えるなんて、恥ずかしいと思わないかと私は聞きたいよ!」
久保井「それは間違ってますね」
三宅「あなたに教育者の良心があれば、事実でもないことを教えてきて恥ずかしいと思うでしょ」
久保井「いいえ。私は戦争は間違っているということを教えている」


橋下「慰安所は日本国だけなのか?、他国で慰安所でなくても同じような形を女性を、あるわけじゃないですか。」
田嶋「だけど、日本政府と軍が直接関与して、集めてこいと、こういうのは滅多にないわけよ」
橋下「じゃあアメリカなどはそういうことはなくて、日本が今問題にされてるのは、軍が関与したということが特徴的なんですか?」
田嶋「そうそう」
橋下「アメリカだって戦争において現地でそういうのはあったわけじゃないですか」
久保井「それはアメリカに対しても非難しなければいけませんね」
橋下「じゃあそれはあったわけですね、世界各国に」
久保井「アメリカはあります」

(なぜ日本人だけが慰安婦問題に答えねばならないか)

橋下「日本だけをね、もちろん事実であれば正当化されることじゃないけれども、ことさら今の問題を日本だけが悪いといってる」
田嶋「違う。それは(被害者が)訴えてきたから。それに対して日本はきちんと対応しないといけないから」「人がやってるからいいってことじゃないんだよ!」
橋下「今は韓国の人たちだけが訴えてきている、他に被害者が何万人といるのだろうに(そういのはどうなんだ)」
田嶋「台湾にもフィリピンにもマレーシアにも東チモールにもインドネシアにも中国にもみんないるの!」
橋下「それはアメリカにもイギリスにもフランスにも同じようにいるんでしょ?(そういのはどうなんだ)」
田嶋「それはそこの人たちがやればいいんだよ。私達は今訴えてきた問題に対して日本人としてきちんと考えなきゃいけないのよ」
橋下「それは世界各国でね、戦争の国家間賠償とかそういうものは、ここはもう訴えるものではない(*1)ということが、全世界の女性たちはそういう風に認識してるんじゃないですか?」(*1:橋下は戦争賠償は国家間で解決済みとパネルに書いている)
田嶋「してないの。今みんな一つづつ整理してるの。」
橋下「他は全然そういう問題起きてないじゃないですか。韓国の従軍慰安婦の問題だけであってね、世界各国でこんな慰安婦問題全然起きてないじゃないですか。」
田嶋「それはあなたが知らないだけ。日本はオランダ人女性も慰安婦にしてる」
久保井「東南アジアの占領地全体で起こってますよ。インドネシアでも起こっています。」
三宅「インドネシアはたきつけにいったヤツがいるんですよ!金になりますよと言って、日本人と思えないようなねヤツがいるんだよ」「悪徳弁護士がいて俺に任せてくれれば、訴えれば金になりますよとね、そういうヤツがいるんだよ不届きなやつ、国賊みたいなヤツが。それでこういうことになるんですよ」
田嶋「どっちみち日本人だよ」

慰安婦に関する日本軍の関与とはどんなものか)

久保井「一番有名な資料だし、私もこの問題についてね存在することに気づいたのは、上海での麻生軍医ですね。(資料写真を見せながら説明)これは軍の組織の正式な軍隊でしょ、そこの資料に載っておる慰安所の形ですね」
久保井「(資料に司令部発の慰安婦に関する指示書を示す)これの司令部というのがありますね、これは軍隊ですよ。慰安所の使い方を述べた、どういう運営をすべきか述べた、これは軍隊が関与してる」
三宅「軍は関与してるよ。関与してるということはちっとも否定してないよ!」
久保井「こういう施設を作れ、更に性病の検査だけでなくね、日本の男どもが喜ぶような大和撫子のサービスとかを指示してる、そういうことを書いてる。(写真を示し)これは明らかに軍医ですよ、衛生兵ですよ、それから看護婦たちですね、このように間違いなく軍の組織が、施設も、場所も、そして利用の仕方も、全部関与している」
たかじん「だから軍の関与はみんな認めてるわけじゃないですか。」


辛坊「じゃあ伺いますが、同じようなことでいいますと、例えばオランダで、公娼制度というのがあって、場所を決めて政府が関与してちゃんと性病の検査もしてここで働きなさいと。その女性たちが、国に賠償しろと言うようなことと、どう違うんですかこれは?」
久保井「そんな公娼制度と軍慰安婦と一緒にしたらいかん」
ざこば「だからそれを聞いてんねん」
辛坊「だからそれを言ってください。全く話が違うと感情的にこの本の中でもたくさん書いてらっしゃるんだけれども、何が全く違うんだかどう読んでもさっぱりわからない!」
田嶋「そりゃ頭悪いよ」(笑い)
橋下「説明しろ」
田嶋「国が関与して騙して連れてきたの。」
宮崎「渡航許可を出したのと無理矢理連れてきたのとは違うでしょうが」
田嶋「同じだよ」
宮崎「何で同じだよ!」
橋下「無理やり暴力を受けて、嫌がるものを働かされていたんですか?軍の方から働け働けと言ってムチを打たれながら働かされていたのか?」
久保井「そういう人もいます」
田嶋「あのね、逃げることもできなかったの」


辛坊「そこが問題なんです。そういう例があったのか、従軍慰安所というものは一般的にそういうもんだったのかについて私は知りたい。」
田嶋「でも戦争中だから国に・・・」
辛坊「田嶋さんじゃない、久保井先生に聞いてる」
久保井「上海で指定の慰安所が置かれたように、業者が経営してる場合もあります。この場合で納得してそこにいる女性もいます。しかしいろいろな証言で出てきて、私が本に書いたように、あくまで自分は納得していなかった、野戦看護婦や普通の仕事と言って連れてこられたけど、実際は慰安所に入れられて出ることができなかった。そして軍隊の兵士の相手をさせられた、ということも述べてますね。」

(日本人は何をすればいいのか)

ざこば「いやあのね、僕が田嶋先生に言いたいのはね、これまわりの人に怒られるかもわからんが、先生の出してきた資料を肯定するとするやん。ほんなら肯定した場合、それどないせえというわけ?」
田嶋「だから訴えてきた人はこう言ってるんです。例えばアジア平和女性基金というのを国が作ったんです。それは民間からお金を集めて。そして訴えてきた人たちにお金をもらってくれと言ったんです。それでお金をもらった人もいます。
 でも、自分たち(被害者)は腰を振ってついていったんではないんだ、国がやったんなら国が申し訳なかったと(認めてくれ)。強制連行したのであり私たちの貞節がそういうのじゃなかったと、ちゃんと謝ってくれれば自分は世間に向かって私はそういう女じゃなかったと証明できる。そしたら自分の威厳も、尊厳も、人格が取り戻せると言ってるんですよ。」
三宅「強制連行だということにしたいわけね。韓国社会では売春婦やってたというと親族縁者から受け入れられない。強制的にやらされたというとエクスキューズになるわけですよ」

(強制とは何か)

辛坊「議論を進めたい。常識的に考えて、本人が強制的に働かされたということが全くなかったということは多分ありえないだろうと。そういう人たちがいて、名乗り出てきたと。で、そのときに国家賠償はすべきかどうか。日韓協約で賠償は一応全部カタがついたということになってるけれど、その後に申し出があった場合でも、それを賠償すべきかどうかという話がしたいのですけれど」
久保井「待ってくれ、強制連行ということに限定するのでなく強制労働も入れていただきたい。そうしないと始めから慰安婦として朝鮮なり中国なりで集めて人狩りをして連れて行ったという場合以外に、騙して連れて行かれたのがあるわけですよ。」
辛坊「はあ、では強制労働も」
ざこば「そんなもんは微々たるもんやで」
田嶋「ほとんどよ。」
三宅「騙されたと言うけど、誰に騙されたの?」
田嶋「警察よ警察」
久保井「まさに占領軍です」
三宅「主語が抜けてるんだよ。誰に騙されたの? 親に騙されたということもあるわけだよ。わかってますかアナタ。」
田島「国家だよ」
久保井「それと、買う人は誰ですか? 国家組織でしょ?」
三宅「買うのは女衒ですよ。売春宿のオヤジ、女衒が買うんですよ」
久保井「それは斡旋でしょ。誰に斡旋するんですか?軍隊でしょ。女衒は軍隊に斡旋してるわけでしょ」
三宅「彼らが軍についていくわけですよ。大きい町があると、軍の営所に近い所で、いいところを軍が斡旋するんですよ。ここで商売やれって」
久保井「そういうのもあります」

(軍の関与は管理だけなのか?)

辛坊「日本の兵隊が買ったから日本の政府に責任があるという論理でいくと、ベトナム戦争アメリカの軍人相手にベトナムの女性が売春した場合はアメリカ政府が責任を負わなきゃいけないということになるわけですか?」
久保井「アメリカ軍がアメリ慰安所というのを作ってやっていればね」「日本では日本軍が慰安所というのを作ってるんですよ。」
辛坊「いや、あれは管轄だけだ、管轄だけでいうなら、先ほどのカンボジアのPKOの場合に軍の管轄でカンボジア政府が売春宿を作ったとしたら。このときには?」
久保井「それは民間的な組織でしょ」
橋下「久保井先生は管轄=管理をしたから責任を問えという話になってると思うんですけど、風俗業においてはね、有料風俗店ほどキチンと検査や予防をしている。だから僕は管理自体は悪いことではない。そこに暴力や強制があったかだ、先生と僕らの認識の差は、管理したこと自体については我々には責任はないと思ってるわけです。強制と暴力なんです。」
田嶋「あのね現実を知るとね、管理とかそういうのじゃないんですよ、もっとひどいんですよ(暴力と強制なんですよ)」

(強制の明確なインドネシアの例)

久保井「慰安婦は名乗り出る形でしか証言は出ないからなかなか難しいこともありますが客観的に、はっきりと日本軍が犯罪であることを指摘されたのはインドネシアの場合です。抑留していたオランダ人女性を慰安婦にした場合です。
 彼女たちは(普通に)オランダ人の家族がいたわけです。その男性と女性が分けられている、そして分けられた女性たちから今度は日本軍の相手をする慰安婦を集めた。これは兵隊のはっきりした軍機密、軍指令です。これはオランダの女性たちをね、たまたま何かの商売のため集めて慰安所をやった形じゃありません。
 あくまで占領してる日本軍がそういう女性が必要であると、現地のオランダ人女性を慰安婦にしたということです。このこともやはり指摘されてるわけですね。これは1946年段階です、東京裁判にはかからなかった。現地で裁判されてますね。そしてそこで証言と相手も実際おるわけです。オランダのバタビヤ臨時軍法会議判決ではっきりと判決が出ております。」
宮崎「それBC級戦犯になったわけですか? 責任者は処罰されたんですか?」
三宅「1000人の人がBC級で処刑されてるんですよ。なかには無実の人もいっぱいいる。」
久保井「罪状は強制売春のための誘拐、売春の強要、婦女の強姦、死刑1名です」

戦争犯罪と賠償の関係)

辛坊「戦時下における犯罪事件は違うと思う」
田嶋「戦時下だっていろんな条約があったんだから違反してるんですよそれは」
辛坊「戦時下における犯罪事件と、国家が関与して数万人の従軍慰安婦を作ったということとは同列に論じていたら話にならない」
宮崎「責任追及されて断罪されて死刑になってるわけでしょ?」
久保井「それで終わった訳ではないでしょ」
宮崎「は?」
久保井「それは戦争犯罪の責任が問われただけで、相手の被害者のオランダ人女性に対する補償賠償は行われてませんよ」
宮崎「被害者の賠償とかの話になってるのは最近の話であって、それは明らかに個人犯罪じゃないですか」
田嶋「違う!国家犯罪だと説明してる」
久保井「国家組織の軍隊が行ったことは国家が責任を持つべきです」
橋下「賠償責任は終わってるんです。そんな責任問題持ち出すんだったら、日本人だってね戦争に反対しながら死んでいった人たちは山ほどいるじゃないですか。そういう人たちがアメリカに対して訴えを請求できるのかという話になるじゃないですか。それは国民を代表して日本国政府が賠償請求権を放棄したわけだから、日本人はみんなアメリカ政府に請求しないでおこうというのは、国民の良識としてアメリカにそういうことを言ってないわけじゃないですか。日本人の良識ですよそれは!」
田嶋「これは個人個人がレイプされたという話ではないの」

(日本に何が求められているか)

久保井「この問題が提起されて女性基金が出来たときにね、韓国の方でも名乗り出てきて強制と言われた女性に対しては、韓国政府は補償すると言ってますね。そして日本に対しても言った、女性基金なんかは出さなくて結構だと。日韓基本条約があるから賠償請求はしない、私どもで支払うと。
 しかしこの問題が提起された限りは、この軍慰安婦を日本軍がやったことの誤りである、このことは謝罪してほしい。補償は私どもがやります。このように当時の大統領が言ってるんです。
 問題なのは、そんなことはなかったと、そんなのは強制だと言う、言いやすいからだとこちらの方(三宅氏)が言われました。そういうような形で早く言えばレイプされた者にもう一回自分はレイプされたということを述べねばならないという苦しみを(与えているのを)考えない。あるいは、これは金のためにやったのではないの、強制的に労働させられたんだと認めて欲しい(という事)。そしてそれをやったのが日本軍の軍隊であり、日本軍の兵士がやったんだ、このことだけは謝罪しなさいよと言ったのが韓国の大統領です。」
橋下「じゃあ久保井先生も、謝罪は必要だけど国家賠償までは必要ないということですか?」
久保井「賠償そのものはね、個人との問題ですから。国家間はね、条約でやっとるわけでしょ。国家間賠償の問題をもう一回蒸し返すためにこの問題を提起してるんじゃないんです」
宮崎「それは国家というものが責任を取ると言ったり、謝罪するというようなことは国民の大多数がこれは間違いないと、hardなevidence=確証が出てきてないと駄目です!そんなことは国家原則としてありえません」
久保井「日本軍が軍として慰安婦を抱えていたというのが正しい事実でしょうね」

(否定派の反応)

三宅「ナントカ先生あなたね、よほどお人好しか少し頭が足りないかどっちかだ。たとえばね、田嶋先生のように、竹島は日本の領土に決まってるものを、向こうの政権維持のためにワイワイ騒がせているわけですよ。それを尻馬に乗ってだねワーワーとね、あなた日本人じゃないんですか?」
田嶋「情けないよ。私は日本人として恥ずかしいよ。」

宮崎「話を聞いていてね、少し分かってきたことがあって、軍が管理してたわけ、ひょっとするとその偶発的であれ管理責任に不備があったかもしれないという事。その部分というのはもうちょっと日本政府はきちんと調べた方がいいんじゃないかなと。そういう気がしました。」
橋下「どちらかというと強制とか暴行とかじゃなくて、どちらかというと、管理責任の問題」
宮崎「そうそう。そう思った」
橋下「それはまた田嶋先生とは違うわけですね。」
田嶋「ホントに男の論理だよね。弱い人の立場に立つイマジネーションがない人たちの話だよね。女買ってる人たちのそういう物の言い方だよ。」
宮崎「俺は女買ったことねえよ!」

(当時の朝鮮・台湾が軍政である意味)

久保井「もう一つ言っておきたいのですが、日本内地の場合は内閣というものがあった。植民地(朝鮮・台湾)と占領地(中国)は軍政ですね、そしてその軍隊がこのような形で人を集めたりあるいは抑留者に強制してやったり。まさに自分たちの支配の中でやってる」
三宅「ナントカ先生! 朝鮮はね朝鮮総督府というのがあってそれが統治してたんで、軍政じゃありませんよ」
久保井「いや、総督府の総督は陸軍大将ですよ、海軍大将が台湾総督ですよ」
三宅「たまたま軍人がやったけど、最初は伊藤博文がやってる」
田嶋「あはは、たまたまだって」
久保井「あなたは朝鮮に日本の議会制度があったと仰るんですか?」(皮肉っぽく)
三宅「軍政とかね、既成の事実みたいに言っちゃいけませんよ」
久保井「軍政です」
田嶋「台湾の総督府だって日本の言いなりだったでしょう。それと同じことですよ」
三宅「仮に言いなりだろうがなんだろうが総督府というのがあって統治してたのは間違いないんでね、軍がやってたわけじゃありませんよ。そんな事実を曲げて歴史をねじ曲げてね、キミのような反日活動家がそういうようなことをやってね、人を貶めるなんてね、恥ずかしいと思え!」
久保井「いや日本の内閣の指揮下にはない、軍政です」
田嶋「こっちが恥ずかしいよ」
久保井「私は間違いは間違いと指摘してるだけです。慰安婦を抱えるような日本の軍隊はそれこそ恥ずべきですね。」
田嶋「そうだよ。」
三宅「何を言っておるんだ!」

(番組司会者のまとめ)

たかじん「まあまあ、あのーどちらの意見も採用する事にしてるんで」
辛坊「そうですか?」
たかじん「一方の意見を抹殺するのは簡単です。だから今日はこうして先生に来ていただいたわけで」
三宅「でもね一方的にならなかった。私はねどんなに頓珍漢な意見でもね、意見は意見として聞いた方がいいと思う」(笑い)
辛坊「まとめたったわ」
(終了:次のテーマへ)


(番組への右翼の感想)=いわゆる暴力的な強制連行の有無だけにこだわった間違った認識の典型例となっている
右翼の感想1「インドネシアのオランダ人慰安婦、これは個人的な犯罪で、加害者側の日本軍兵士は処罰されているのに、それを持ち出して日本の国家犯罪のように言っていたので、あ〜やっぱダメだこりゃ〜でしたね」(http://www.geocities.co.jp/Bookend-Ryunosuke/6112/nikkiokoshi-0504.html

右翼の感想2「この先生、最初の方ですでに「日本軍による強制があったという資料はない」って認めちゃって、その後も是が非でも日本が悪かったことにしたいというこじつけ論ばかり。本来なら「強制連行はなかった」となった時点で、この議論は終わりのはずなんですけどね(^_^;」(http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/log/eid280.html

逐次テキストの例→(http://www.geocities.jp/aic251/zyuu.html